流華の楔
何とか気を取り直してもう一度。
「俺、さ……お前のことが……」
「………」
「お前のこと……す…」
あああああもう自分が自分でじれったいっつーのっ!
と、心の中の自分が叫ぶ藤堂。
それを知ってか知らずしてか、和早は複雑な表情で続きを待っている。
「すぅぅうー…」
「………」
「すー、ごく尊敬してる!」
コレほど自分がバカだと思った日はないと思う藤堂である。
反して和早は一瞬沈黙したもののすぐに笑だした。
「あははっ…そう来ましたか。ありがとうございます」
やっぱり違う。
本当に言いたいことはまだあるんだ。
そう言えたら良かったのだが、藤堂にはそれを言うだけの勇気が無かった。
だから。
「…和早!? お前、和早じゃないか!?」
邪魔をされても、文句のひとつも言えなかったのだ。