流華の楔



「新、ざ…き?」



和早から感じられる香りに違和感を覚える。


自分はこの香り――否、臭いを知っている。




「…血の臭いがする」


「わかりますか…?」


疲れたように笑う和早。
立っているのでさえ辛そうに見えた。



「とにかく部屋に」


「はい…」




聞きたい事があったのも忘れて、和早の身体を支える。

戻ったばかりなのか、触れた衣が冷たかった。



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