流華の楔



しばらくすると和早の調子は大分良くなり、事の経緯を話すことになったのだが…



「襲われた!? そ、それはどういう…」


「不意打ちで襲撃されたんです。どこの者かはわかりませんが、数人の…相当強い浪人でした」


「だ、だよな…。あ、怪我は!?」


血の臭いがしたという事は和早が怪我をしているかもしれないという事ではないか。



「いえ…怪我はとくにありません。ただ数人相手に立ち回るのは少し疲れました…」


ふっ、と笑う和早。
ひょっとすると気を遣わせてしまっているのかもしれない。



「ごめん。俺、戻るわ。土方さんには俺から言っとくから」


「…すみません、お願いします」







心の中がもやもやする。


なぜ彼女が襲われたのか。
彼女は自分の知らないところで何をしているのだろうか。


なぜ、危険な目にあっていた彼女を助けられなかったのだろう――…




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