流華の楔
有無を言わさず土方の部屋に連れて来られた和早は、彼の手当てを受けることとなった。
消毒後、慣れた手つきで包帯を巻いていく。
ただ唯一、沈黙が苦しい。
「あの、すみません…わざわざ手当てまで…」
「いいっての。他人にやってもらった方が幾分マシだろ? 遠慮は無しだ」
手当てを続けながら、土方は微かに笑う。
長い睫毛。
色香のある口元。
淡い明かりに照らされた横顔が、何よりも綺麗だと思った。
「傷、残らねぇといいがな…」
「ふふっ、今更そんなこと気にしませんよ。これ、ありがとうございます」
和早はそう言って咲笑った。
幼い頃から剣を握らされていた身体。
小さな傷なら何ヶ所もある。