さくら ―余命3年の恋―
「ほら、ここ小高い丘になってるからよく見えるんだけどさ。
ここへくる前、一緒にいた友達に集合時間がどうとか言ってたじゃない」
「………あーっ!!!!
そうでしたっ!!
教えてくださって、どうもありがとうございます!!」
時計を見ると、集合時間わずか10分前。
彼はなんでここまで正確に時間を当てられたのか…。
そんなことを気にする間もなく、私は駆け出した。
丘を下りきる直前、
「あっ、名前………」
と呟き、桜の方へ振り返ってみたものの、もうそこには誰もいなかった。