さくら ―余命3年の恋―



そう言って、しゅんとする璃子。


───そう、この親睦会は美術部らしくスケッチを描く時間も設けられて、その画題も必要になる。


私は中学の頃から風景画ばかり描いてきて、同じ中学で美術部だった璃子は人物画が専門。


だから、本人曰く「風景画は苦手」らしい。



「大丈夫だよ。
着いたら、きっと綺麗な景色いっぱいあるって」

「そうかなぁ………」



まだ心配そうな璃子。


早く着かないかな、とはやる思い。


まるで小学校の頃の遠足のよう。


心なしか、バスからの過ぎ行く景色がゆっくり過ぎて行くように見えた。



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