さくら ―余命3年の恋―
「…仕方ないか」
私はまた進行方向を向いて歩き出す。
…高校入ってから、ひとりで帰るのは初めてかもしれない。
じとじとと降り続く雨のせいか、気分も憂鬱になる。
…理由は雨のせいだけではないのかもしれないけれど。
「あれっ、美桜じゃん」
「えっ?」
いきなり声をかけられて、ビクッとしながらも振り向いた。
───馴染みのある、声だったから。
「たっちゃん!!」
「何時間ぶり?」
そこにいたのは、よく見慣れた顔。