天邪鬼
「梨絵!!」
「分かってる?もう私たちは子どもじゃないのよ」
「だからって」
「私が言わなかったら、梨絵言えなかったでしょ?」
「...それは」

否定出来なかった


私のお腹に新しい命があるなんて結婚していない私には到底言えなかっただろう


だって怖いから


私たちは同棲してる

けれど結婚はしていない


「もう千草のお腹徐々に目立ってきてる

お腹だけじゃないよ
体つきも以前とは確実に変わってきてる

これは今は良くてもいずれは絶対にバレることなの
隠し通すのはこれ以上無理なんだよ、分かる?

怯える気持ちも分かるよ
怖いし不安だよね

でも逃げてちゃダメじゃん
お母さんになるんでしょ?」


分かる
分かってる


嫌われたくないからって言えなかったのはただ逃げてるだけだって

もう隠せないって


「千草、帰りな」
「...うん」


梨絵の厳しさはきっと私のこと本当に大事に想ってくれてるからこそなんだ


甘えるな


私は、何も出来ない子どもじゃない

責任転嫁して逃げられるほど甘くはないのだ


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