冷酷男と変人数名


この時間帯では人の全く居ない裏庭に向かう。

もうすぐ昼休みが終わりそうだ。
早く弁当を食べたい。


思いながら、いつものベンチに座ろうとすると、今日は先客が居た。


リボンの色からして、一年生だろうか。
普通のどこにでも居そうな女子だった。手には最新型の携帯ゲーム機がある。

何やら熱心に画面を覗き込んでいて、俺に気付いていない。

人一人座れそうなスペースはあったので、その女子の隣に座った。

弁当を開いて口に運ぶ。うん、味は最高。


隣の女子が気になってちらりと見遣る。
何のゲームをやってるのか覗いてみて驚いた。

俺がはまっている「マジカルクリーチャー」だった。
こんなガキ向けのゲーム、俺以外にやってる奴いたんだ。

素直に感心してジロジロ観察してみる。
あ、これ中盤のボス戦じゃん。
「マジクリ」シリーズ過去最強で、素人じゃまず突破出来ないんだよな。


思った通り、女子は画面のボス相手にかなり苦戦しているようだ。
必死にクリーチャーを操作している。
が、ボスはかなり手ごわい。
この俺でもクリアに一時間粘った。

あーあ、あんなに手赤くして…。

ちょっとかわいそうになってきた。
< 5 / 15 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop