冷酷男と変人数名
「でもこういうのって、自分でクリアしなきゃダメよね」
「リセットするのか?」
「うん。後でもう一回頑張る。自分で倒す」
確かこのボスの直前でセーブポイントがあったな。
もう一度自分の手でクリアするのも良いかもしれない。
女子はゲーム機の電源を落とした。
そして、俺を見る。
俺はそこで、彼女の顔を初めてよく見た。
表情の無い顔だ。
パーツは整っているが、
そこらへんに居ても気付かないような、
地味な女子だった。
「ありがとう。先輩もマジクリやってるの?」
この反応を見ると、俺が散々な噂をされているのを
知らないのか?
まあ、そのほうが好都合だけど。
「ああ。全シリーズクリア済み」
「すごい。私なんか前作からやってるのに上手くできないよ」
「最初はみんなそうだよ。じっくりやり込むことで操作にも慣れると思う…って、なんか偉そうなこと言ってごめん」
「ううん」
上から目線すぎて引いたか?
と思ったが、彼女は特に何も感じなかったらしい。
久々に普通に話せる人物と会えたこともあり、
その後、俺はその女子とマジクリ談義を白熱させた。