冷酷男と変人数名
昼休みの終わりを告げる鐘が鳴った。
クリーチャーの育成についての話を中断し、弁当を片付ける。
いつも食う妹の飯が今日は倍以上美味く感じた。
「じゃあ、教室帰るか。授業めんどくせぇなー」
「また色々教えてください、緒方先輩」
「あれ…俺のこと知ってんの?」
彼女が相変わらずの無表情で首を傾げる。
「だって有名だから」
「じゃあ俺が冷血とか言われてるのも知ってんのかよ?」
少しきつめに言うと、彼女は怯んだようだが、
また口を開く。
「でも緒方先輩、そんな人に見えないから」
「…へえ」
なんとなく彼女を試すために自分の噂を利用したが、
彼女の答えは俺の予想を覆した。
確かに俺を避ける奴らは、噂を信じている。
俺自身を見て、噂を否定する奴なんて居なかったから、
少し、目の前のこの女子に興味が沸いた。
不安そうに俺を見る、一回り小さい彼女の頭に手を置く。
少し手が震えた。