美しい花−先生と秘密な関係−【上】
「ごめんなさい…ずっと続けるつもりはないけど、今はまだ辞められない」


「…俺はなに小さい事言ってんだよな?気にすんな」


「ごめんなさい」


「いいから食え」





先生はいいからと言ってくれたけど、胸に少し風がふいた気がした。


先生は自分でお弁当を食べ始めた。





「ちょうど1年くらい前に、母が癌でもう助からないって知ったの。ずっと前から治療を受けてたらしいんだけど、知らされてなくて…急に病気の事もあと数ヶ月の命だって事も聞かされた…」






今までトキオ以外に話した事はなかった。


話せる人もいなかったし。


でも、先生には話しておいた方がいいと思った。





「それで、母はホスピス治療を受けれる病院に行きたいって言い出して…多分、あたしたちに苦しんでる姿を見せたくなかったんだと思うんだけど…」





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