10円の魔法
「あっ、あんなの本命じゃぁないんだから!!!」
「えっ??」
「10円のチョコを好きな人に渡す訳ないじゃん!!!!」
―――はっ!!!
思っても無いことが口からべらべらと!!!!!
「―――そっか……」
「!!! ち、違っ……」
「いいって。気ぃ使わなくて」
くるっと後ろを向いて、来た道を引き換えしはじめた。
「幸成………っ!!」
「忘れ物した…。
取ってくるね」
そう言って見せた笑顔は、悲しいものだった。