10円の魔法
「んな訳ないだろ!!?」
「んな訳あるんだよ!!!」
2人とも少し疲れてきたようで、肩で息をしている。
「――…ありえないだろ。
俺と妃乃が両想いなんて」
――プチンッ!
巧のどこかで、何かが切れる音がした。
「何もしてねーくせに諦めてんじゃねぇよ!!!」
「しょうがないだろ。
もう、諦めたんだ……」
巧の足に、力がこめられた。
手に怒りが現れ、わなわなと震えている。
「何もしてないのに…
諦めてんじゃねーーー!!!!!!」
瞬間、巧と幸成の距離が縮まっていく。
巧の拳が、幸成へ―――
―――――――ゴッ…