10円の魔法



「……ありがとう」



少し、照れ隠しつつもお礼を言った。


「え?何?なんか言った?」




声が小さかったようで、幸成には聞こえていなかった。



「なっ、何でもないよっ!!!」




袋からパンを取り出し、かぶりついた。



「おいしー?」



「購買のパンがまずい訳無いじゃん」



巧がいつもの笑顔で言った。


「おいしいの?」




「おいしいよっ!!」



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