大きなしろねこと小さなしまねこ
しろネコは小さな窓の下からピョンと駆け出し、
閉じられた部屋の戸に向かって、一生懸命ツメをたてはじめました。
肩を戸に押し付けて、戸を押し開けようとしました。
両の前足に思いっきり体重をかけて、戸を押してみたりもしました。
しかし、大きなお屋敷の立派な戸はびくともしません。
それでも、しろネコは諦めず、今度はいっぱい体を伸ばして、
ピョンピョンと戸に飛びかかりました。
戸にツメが強く当たって、ツメが傷みましたが、しろネコは戸に飛びかかり続けました。
すると、しろネコの右の前足が戸のノブにかかり、カチャリと戸が音をたてたかと思うと、
細い隙間が現れました。
しろネコは夢中でそこに前足を差しこみ、また少し開いた隙間に額を押し付け、
首を通し大きな体を細くして、するりとお部屋の外に抜け出ました。

しろネコは、さらに夢中で大きなお屋敷の中を駆けました。
ぽかぽかのお日様の日だったので、風を通すためにお庭に面した窓は開かれていました。
しろネコは、その窓から勢いよく飛び出すと、
次は高い塀の上に向かって一目散に走りました。
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