大きなしろねこと小さなしまねこ
またしばらくして、小さなしまネコが言いました。
「もう食べないのなら、ぼくにちょうだい。」
大きなしろネコは、少し考えてから答えました。
「うん、いいよ。」
小さなしまネコは、てくてく近づいていきました。
そして、器の中を覗き込み、少し首をかしげて言いました。
「こんなご飯は見たことがないや。でも、おいしそう。いただきます。」
大きなしろネコは、その様子をただジッと側で見つめていました。

やがて、しまネコは、食べ終わると舌で口のまわりをペロペロしながら言いました。
「うん、おいしかった。ありがとう、ごちそうさま。」
すぐにくるりと向きをかえ、歩き出したので、しろネコは言いました。
「待って。君は一体どこから来たの?」
しまネコはまたくるりと向き直り、答えました。
「この大きなお屋敷の、塀の外だよ。」
塀の外に出たことがないしろネコは言いました。
「そこでは、たくさんご飯はもらえないの?」
しまネコは答えました。
「もらったりすることはないよ。でも、自分で好きなものを探すんだ。」
自分でご飯を探すことがないしろネコは、
しまネコのことをとても不思議に思いました。
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