僕とあの子の放課後勝負
「ユウくんとキョウくん、昔みたいに、アオちゃんって呼ばなくなったね」
「葵じゃ駄目なのかよ」
「恥ずかしい」
「だって!…私だけ、時が止まったまま、みたいで」
僕らが成長した証。僕ら幼なじみ三人組にとっては、それが呼び名だった。葵だけが僕のことをユウくんなんて呼ぶ。葵だけが京平のことを、キョウくんなんて呼ぶ。友達としては彼女のしたいようにさせたいけれど、本音を言うと、少し恥ずかしい。
「じゃあ葵、また「僕らだけの」新しい呼び名をつくればいいじゃないか」
「そうだな!俺らも愛称で呼ばれると、ちょっとな」
「私達、だけの」
「そう」
「私達だけの!」
しまった、喜ばせた。暴走自転車は止まらない。