彼方ニ、跳ネル。
プロローグ


見渡す限り田んぼばっかりの片田舎。

電車もバスも少ないし、遊ぶ場所なんて全然ない。

そんな町で私は生まれ、
18年も過ごしてきた。



この町も嫌いじゃないけど、私だって若者ですから。
都会に憧れていて高校は少し無理して片道一時間の市内の学校に入った。

いわゆる高校デビューがしたかった。


痛々しい ああ痛々しい 痛々しい。
字余り。


…そもそも現実は甘くなかった訳で。

教室から窓の外を見れば広がるのは山。

市内とはいえ、そこは山地だったと言う…浅はか也。


もっと言えば、私が入学した年から校則は厳しくなるし三年になった今でも友達は少ないし。




…せめてさぁ!
どうせ田舎なら、思いっきり田舎な方がよかった!

こう…昔ビデオで見た、オズの魔法使いに出てきたカンザスみたいな。

広がる大平原、
さわやかな空気、
大きなブランコ、
放たれた山羊、
山羊のミルクで作ったチーズ…




…………。




……誰か『国が違う』ってツッコんでくれ!





要するに私は此処を離れたい。


とにかく遠くに行きたい。

だから今、上京するために大学受験の勉強に励んでいる。





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