彼方ニ、跳ネル。


魔女たちと離れてから、もう20分くらい歩いている。

青々とした田んぼを分かつように黄色い煉瓦の道が果てしなく続いている。

記憶に間違いがなければ、この煉瓦の道を辿って行けばエメラルドの都に辿り着ける筈……。


「自信なさそうだな」

「だって、色々と物語と違いすぎるんだもん…」

外国の物語なんだから、オ○゙の国の周りが田んぼだらけである訳がない。

なのにどう見ても道の両サイドは稲だし、所々に白い三角の旗が…あれは空中散布の目印では?

見渡せば見渡すほど日本の田園風景みたいだ。

やっぱり此処は日本なのでは?と思いそうになるのだが、それにしてはさっきから上空を飛び交っている熱帯の鳥(のような生き物)が不自然過ぎる。

日本にあんな極彩色でヒラヒラの派手な鳥がいるわけない。


「さっきから物語物語って……何なんだそれ」

「ああ、ピョン吉分かんないよね」

そういえば気付いたら何の違和感もなくピョン吉と会話をしていたが、少なくとも此処に来るまでは普通の犬だった。

童話を知らなくて当然だ。

「オズの魔法使いっていう童話があってね。状況と流れが大体こんな感じなの。でも微妙に違うっていうか……」

「そりゃ、全く同じにいく訳ないだろう。お前が主人公と違う人間なんだから」

……それもそうだな。

もしかしてこの環境は私に合わせてくれてるんだろうか。
だとしたら結構優しい世界な気がしてきた。

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