彼方ニ、跳ネル。
まあライオンっぽい耳、といっても色だけの話で、要はただのオレンジ色の猫である。
ていうかただのオレンジ色のパーカー着て耳付フード被ってる男子だ。
「ふっ……大、大丈夫。大丈夫だよちゃんとライオンだよ」
「わ、笑うなぁぁ!お前バカにしてるだろ!17歳の男子が何やってんだって思ってるだろ!」
そんなことは本当にない。
むしろごめん。すっげー萌えてた。
「…………おい。そこの猫」
「ラ・イ・オ・ンだ!お前こそ何だよ犬!」
「うるせえ。お前なんの用だ?」
そういえば、童話じゃライオンの出番って結構後の方だった気がする。
最初に出てくるのって案山子じゃないっけ?
「なんか、お前らの仲間になって勇気を手に入れる義務があるような気がしたんだ」
「義務!?」
「別に俺、今更勇気とかいらねえけど」
「でしょうね…」
そりゃあ耳付きフードで出落ちみたいな登場する勇気があるんだもんな。
なんかもう童話の筋書きとか気にしないほうが良さそうだ。