彼方ニ、跳ネル。
ある日の夜

休日もずっと予備校に通っているのだが、この日は特別授業で帰りがいつもより遅かった。

それでも勉強し足りない私は深夜までひたすら無心で机に向かっていて、何処からか変な音がする事に気付くのに時間がかかってしまった。

何だろう、この音は
こう…ロケット発射!みたいな音。
地鳴りみたいな、風の音みたいな…

不思議に思って耳栓を外す。
勉強に集中するために耳栓は欠かせない必須アイテムと言えよう。



「紀奈子ォー!!」

…あら、父が呼んでいる…気付かなかった。

ていうかアレ?外から?夜中なのに?

私は首を傾げ、カーテンを捲って外を見る。
庭では父と母が二階のこの部屋に向かって何か捲し立てている。

そしてちょっと顏を上げてみると、



………ホワッツ?

目の前のアレは何?


「紀奈子ォォー!!何故か突然現れた巨大な竜巻がうちに向かって来て父さん達は何とか逃げ出したが気付かなかったお前はもう手遅れッポイが何でもいいからとにかく早く家から出ろォー!!」

説明口調!?

ていうか、


なんてこった必須アイテムが仇に!!


いや、竜巻の轟音にも負けない大声で叫んでくれた父のせいにしてる場合じゃない!

竜巻は真っ直ぐうちに向かっている。

あまりの強風に窓ガラスはガタガタと軋み始め、外にいる両親たちは煽られて家を離れていく。

とにかく私も外へ逃げなきゃ、間違いなくお陀仏!

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