彼方ニ、跳ネル。



……。


…………。



私、誰と会話してんの?


まさか、いつの間にか誰かが家に上がり込んでたとか?

いや、だとしても竜巻の事は知らない筈だろ。


この家にずっといたとすれば―……


私は恐る恐る振り返る。

また幻聴―…

幻聴…だといいな……。




「まあ、お前が勉強ばっかしてて頭ヤバくなってるのは確かだけどな。」

「ピ…」

目の前でおすわりし、流暢に口を動かす我が飼い犬。


ピョン吉さん、喋りよった……!


「何驚いてんだよ。せっかく俺の言葉が理解できるようになったんだぜ?むしろ喜べよ。」

「………い、いやだぁぁ!
どうせ言葉を理解できるようになるなら英語の方が良かったぁぁぁ!!」

あれだけ必死に勉強してる英語より先に犬語を習得!?

なんて不条理……!!

「おい、いいのか?外、感謝されてんのにほったらかしで。」

「うう…よもやピョン吉がこんなにふてぶてしい奴だったなんて…夢だ!夢に違いない!きっと私まだ寝てるんだ!」

「ハッ…まあ、そう思いたいんなら思ってるがいいさ。」


うわ何か腹立つなこの犬!

夢だとか言った事が恥ずかしくなったじゃんか畜生!


< 9 / 22 >

この作品をシェア

pagetop