ふたりごと








どんなお店に飲みに行くのかと思っていると、松崎くんは特に私に相談をするでもなくどこかを目指して歩いていく。


私は彼のあとを追うようについていった。


「オシャレなお店じゃなくてもいいですか?」


歩いているうちに、ふとちょっと笑えるような問いかけを彼にされて、私は吹き出してしまった。


「OLがみんなオシャレなお店を好きだと思ったら大間違いだよ。美味しいお酒が飲めればどこでも大丈夫」


「なるほど…」


松崎くんの受け答えは、いつも面白いというか、私の想像外の返答をしてくれるので飽きない。


どこのどんなお店に行くとかそういったことは言わずに、私たちは歩き続けた。


カフェを出て10分ほど歩いただろうか。


松崎くんは「ここです」と、ひとつのお店の前で立ち止まった。


なんというか…ごく普通の居酒屋に見える。


「ここ、オススメなの?」


「はい。たまにサークルで利用してて…天ぷらと牛タンがとても美味しいので、ぜひどうぞ」


店員さんみたいな話し方。


また吹き出しそうになったのを我慢して、私たちはお店に入ってみることにした。


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