ふたりごと
アパートへ帰り、部屋の明かりをつけていつものようにカーテンを閉める。
彼にもらったコーヒーを早速いれてみる。
桜色のコーヒーカップで、ブラックのまま一口飲んだ。
「おいしい」
部屋には一人しかいないのに、どこかポカポカして感じた。
松崎くんはコーヒーの温かさみたいに、ゆっくり、じんわりと心を温めてくれる人なのかもしれない。
私……誰かを好きになってもいいのかな?
傷つくのは怖いけど、こんなに心を暖かくしてくれる人に出会えたことは、私にとって何か意味があると思えた。
和仁以外に誰かを愛せることなんてないと思ったけれど…
それはそう遠くないかもしれないな。
とても優しい気持ちで、その晩は眠りにつくことが出来た。