ふたりごと


「俺が一方的に西山さんを好きなだけで、付き合ってない。今日も俺が誘ったから一緒にいるだけだ。それをエミに文句つけられるのは間違ってる」


西山さんを好き、


私のことが好き、


松崎くんはハッキリそう言った。


胸が締め付けられる思いだった。


エミという女の子はムッとしたような顔をし、松崎くんにではなく私に向き直った。


「あの!あなたに言いたいことがあります」


「は、はい」


びっくりして私は持っていたお茶を地面に落とした。


「エミ!」


聞いたことのない松崎くんの怒った声が聞こえた。


それと同時にエミという子は私に


「昭治とどういうつもりで会ってるわけ?昭治が苦しんでないとでも思ってるの?ちゃんとしなさいよ……答えがハッキリしてないから昭治はいつもツラい思いしてるんだから!」


とまくし立てた。


「エミ!いい加減にしてくれ」


松崎くんはエミという子にそう言うと、静かに


「もうみんなのところに戻ってくれないか」


と、つぶやいた。


彼女は呆然とする私を睨みつけたあと、荷物を担いで走って行ってしまった。

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