ふたりごと


私と松崎くんのあいだに流れる沈黙。


今までは心地いいと感じていた私たちのあいだに流れていた沈黙が、今日はとても刺々しい。


「西山さん、すみません。さっきのは……」


松崎くんが私の隣に再び座って、落としてしまったお茶を拾い上げる。
そして私の顔を見て動きが止まる。


私が言いたいことはただ一つだった。


「ごめんなさい」


堪えていた涙が溢れるのがわかった。


「松崎くん、ごめん……」


これまで何度も謝ろうと思った。


こんな中途半端な気持ちの私と一緒にいてくれて、申し訳ないと思っていた。


でも松崎くんはいつも、気にしないで下さい、俺がそうしたいから、と言ってくれるから、謝るのは悪い気がしていた。


でも、そうじゃなかった。


私が答えを出せないから、松崎くんも苦しんでいたということ。


「違います」


松崎くんは即座に否定し、泣いている私が他の人に見えないように立ち上がった。


「お願いします、謝らないでください。西山さんは悪くありません」


「ううん、悪いのは私」


「違う、悪くない」


初めて、松崎くんが敬語をやめた。


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