ふたりごと


あんなに好きだった和仁と、正反対の人を好きになるとは思わなかった。


私はいつの間にか松崎くんのことばかり考えてしまうようになった。


思い出の整理をしていたはずなのに。


自分が思っている以上に、私は彼の事が好きなのかもしれない。


開きっぱなしにしていたアルバムを閉じる。


アルバムに関してはまだ何冊か目を通していないものが残っていた。


でも、もういい。
私にはもう、必要のないものだ。


たくさんの思い出をくれた和仁には感謝している。


だけど、ただ、それだけ。


私にとって彼はもう、それだけ。




大きめの厚手の紙袋を広げて、その中にアルバムやプレゼント等のすべてを入れる。


紙袋の口をガムテープで閉じると、そのままゴミ袋にそっと、丁寧に捨てた。












< 156 / 176 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop