ふたりごと
ズキンズキン。
頭が痛む間隔が、電車の揺れるリズムよりも速くなってきた。
ちょっとヤバいかな。
電車を降りようかな…。
そんな考えが頭をよぎる。
でも、いま電車を降りてしまったら会社に遅刻してしまう。
迷っていると、電車が大きく揺れた。
同時に頭に打ったような強い痛みが走る。
グラッと私の体が力を無くしたのが自分でも分かった。
人で埋め尽くされた狭い電車のなかで、私はしゃがみ込んでしまった。
「だ、大丈夫ですか?」
近くでそう声をかけてくれる人がいた。
もしかしたら、あの化粧をしていた女の子の声だろうか。
だけど、それを確認する元気すら残っていなかった。
ズキン。
また頭が強く痛んだ。