ふたりごと

仕事を終えてスーパーで買い物をしながら、ふと思い出した。


松崎昭治という男の子のことだ。


あれから何日も経ってしまった。
お礼をすると言ったのに、なんとなく連絡せずにいたのだ。


彼はもう私のことを忘れてしまっているかもしれないけれど。


スーパーで買い物をした袋を下げて、私は携帯電話をバッグから出した。


彼の連絡先は、携帯番号。
メールアドレスは知らない。


━━━いきなり電話しても大丈夫かな。


でも学生のようだったし、忙しければ電話に出ないだろう。


ましてや知らない番号からの電話だったら、警戒して出ないかもしれない。


そんな展開になっても別にいいか。


私は軽い気持ちで彼に電話をかけた。