ふたりごと


「西山さん」


急に後ろで声が聞こえて、私は驚いて飲んでいたアイスコーヒーがこぼれそうになった。


後ろを振り向くと、


「驚かせてすみません。遅くなりました」


と、頭を下げる男の子がいた。
間違いなく、この間私を助けてくれた彼だった。


なんというか、彼はちょっと生真面目なのだろうか。
仕草の端々にそれを感じさせる何かがある気がした。


見た目よりも、ひとつひとつの動きや話し方から伝わる印象なのかもしれない。


「何でも好きなもの頼んでくださいね」


私の言葉を聞いて、彼は非常に困ったような表情を浮かべながら隣に座った。


「ブレンドコーヒーだけで大丈夫です」


そう来ると思った。
無駄に贅沢はしなさそう。
ましてやおごってもらうとなると、彼は一番安いものを頼むような予感はしていた。


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