ふたりごと


私と松崎くんは、それからお互いのことを話した。


うわべだけの会話。


深いところには触れず、どうして私たちが2人で会っているのか、理由は考えなかった。


私は彼ともう一度会いたいと思ったわけではない。
ましてや恋愛の感情なんてもちろんない。


それでもこうして再び会ったのには、自分でも気づかない小さな理由があるのだろう。


そうだとしても今は理由を探さない。
考えれば考えるほど、疲れてしまうからだった。




私はOL。
彼は大学生。


私は25歳。
彼は22歳。


私は一人暮らし。
彼も一人暮らし。


私は東京都生まれ。
彼は千葉県に実家がある。


私の身長は158センチ。
彼の身長は178センチ。


私はA型。
彼はO型。


私は冬生まれ。
彼は夏生まれ。


好きな映画の話。
就職の話。
どんな音楽を聴いているか。
嫌いな食べ物の話。
小さい頃の話。




取り留めのない話を、ただただずっとしていた。


たった一杯のコーヒーだけで、うわべの会話をした。


< 36 / 176 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop