ふたりごと
━━━アパートに帰って、私は電気もつけずに部屋のソファーに腰かけた。
窓から差し込む街灯のぼんやりとした明かりを眺めながら、今日の出来事を思い返す。
自分の気持ちが、よく分からなかった。
和仁のことを忘れたくて、
彼を好きだったことを忘れたくて、
彼と過ごした時間すべてを忘れたくて。
ずっと苦しんで、悩んで、泣いてきた。
でも、忘れる必要はないのかな。
松崎くんは果たして、そんな泣いてばかりのちっぽけな私でさえも許してくれるのだろうか。
こんな都合のいい話、絶対におかしい。
また私と会いたいと言ってくれたのは、戸惑いはしたけれど嬉しかった。
だけど、ありのままの自分を見せるのはまだ怖いし、そんな勇気はない。
暗い部屋で何も答えが出せないまま、そこからずっと動けなかった。