ふたりごと


「遥」


ソファに寝転がりながら、和仁が私を呼んだ。


キッチンにいた私は深く考えずに首をかしげた。


「なに?」


「遥って、結婚願望ある?」


「結婚?」


まさかそんなことを聞かれるなんて思っていなかったから、とても驚いた。


結婚願望は、ある。
ただし和仁とだから結婚したいと思うのであって、違う人との未来はまったく考えたことなどない。


「急にどうしたの?」


夕食を作っていた手を止めて、私は和仁に問いかけた。


まさかプロポーズなんてココでしないよね?
そんなプロポーズでも私は構わないのだけれど。


そんな私の思いをよそに、和仁はただ優しく笑っていた。


「どうもしないよ。ただ、俺はいつか遥と結婚するんだろうなって思っただけ」


その彼の言葉に、私はドキッとした。


長く付き合ってきたけれど、結婚の話は今までしたことがなかった。


まだ結婚をする気はないようだけど、ちゃんと私のことを考えてくれているのだと分かって嬉しかった。


< 41 / 176 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop