ふたりごと
「遥」
ソファに寝転がりながら、和仁が私を呼んだ。
キッチンにいた私は深く考えずに首をかしげた。
「なに?」
「遥って、結婚願望ある?」
「結婚?」
まさかそんなことを聞かれるなんて思っていなかったから、とても驚いた。
結婚願望は、ある。
ただし和仁とだから結婚したいと思うのであって、違う人との未来はまったく考えたことなどない。
「急にどうしたの?」
夕食を作っていた手を止めて、私は和仁に問いかけた。
まさかプロポーズなんてココでしないよね?
そんなプロポーズでも私は構わないのだけれど。
そんな私の思いをよそに、和仁はただ優しく笑っていた。
「どうもしないよ。ただ、俺はいつか遥と結婚するんだろうなって思っただけ」
その彼の言葉に、私はドキッとした。
長く付き合ってきたけれど、結婚の話は今までしたことがなかった。
まだ結婚をする気はないようだけど、ちゃんと私のことを考えてくれているのだと分かって嬉しかった。