ふたりごと
私があからさまに嬉しそうな顔をしたからか、和仁は呆れたように頭をかいていた。
「ほんとにお前は素直だな」
これは和仁の口癖だ。
私は別に自分で素直であるつもりはないのだが、彼はいつもそう言うのだ。
「今日のごはんは?」
いつの間にか和仁が私のそばに来ていた。
近くで声がして、私はわざとキッチンのコンロを隠して彼に笑みを向けた。
「匂いで当ててみて」
彼は目を閉じて、大きく息を吸い込んだ。
「なんだろ?チキンスープ?」
「惜しい。これからシチューになるの」
「楽しみだな」
私と和仁は唇を重ねた。
何度も何度もキスはしているけれど、そのたびにいつも私は幸せな気持ちで心が満たされる。
ずっとこうして彼と一緒にいられればいい。
それだけで私は幸せなのだ。
これ以上の幸せなんて、きっと、いや絶対にない。
信じていたのに。