ふたりごと


「おはよう、遥」


そう言って笑いかけてくれた、大好きな人はもういない。


私は一人ぼっちなのだ。


夜も寂しくなるけれど、朝も寂しくなる。


ほんの少し期待をして目覚めるのに、やっぱり彼はいなくて。


私のバカな期待は、あの日からいつも空振りを続けていた。
たぶん、これからも。









私は体を起こして、ベッドから降りる。


ひんやりした床の冷たさが素足に伝わってくる。


ダイニングテーブルの上に、昨日私のもとへ届いた手紙が開かれたまま乗っていた。


鈍い動きでその手紙を手に取る。


< 5 / 176 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop