ふたりごと










アパートに帰って、すっかり真っ暗な部屋に明かりをつける。


パッと部屋が明るくなり、私は外から中が見えないようにカーテンを閉めた。


冷蔵庫から冷えたお茶を出してテーブルに置き、ソファーに腰を下ろしたタイミングで、ちょうどよく携帯が鳴った。


バッグから携帯を取り出すと、メールが来ていた。


松崎くんからだった。


今日、私たちはアドレスを交換した。


電話だけだと都合もあるだろうから、アドレスを知りたいと言われたのだ。


『今日はありがとうございました。また連絡します』


彼らしい簡潔な文章に笑ってしまった。


笑ってから気づく。


予想以上にちょっと近づきすぎたな、と思う。


こんな状態の私でいいのだろうか。
彼を傷つける結果にならないだろうか。


様々な不安が頭を駆け巡る。


携帯の画面を見つめたまま、どうしたらいいのか分からずに息をついた。












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