ふたりごと
「コーヒー飲みたいなぁ」
私がつぶやいた言葉に、松崎くんは一瞬考えたあと
「今度うちに飲みに来ませんか、って言いたいですけど、おいしいコーヒーをいれる自信はないのでどこかお店に行きますか」
と言った。
そう言うと思った。
私は密かに笑ってしまいそうになる。
「松崎くんらしいね。普通の男の子ならすぐうちに来いって言いそうなところだよ」
「えぇっ?試したんですか?」
「ごめんね。松崎くんも私を試していいよ」
きっとそんなこと、彼にはできないだろうと思いながら言ってみると、案の定松崎くんは慌てたように首を振っていた。
「恐れ多いです」
彼の発言は、いつもちょっと古風で、そしてなぜかクスッと笑わせてくれるような気がした。