年下の悪魔
衝動
「はぁ~…」
「ゆいちゃんどうしたの?若い娘さんが週末間近に溜め息ついて」
「へ?あ…いえ」
洗い物をする手が震えてる。
てか、今私、店長にバレちゃうぐらい溜め息ついてた?
ヤバいな、無自覚だ…。
「病み上がりなんだから辛くなったら言うんだよ~」
軽々と中華鍋を振る店長。
やっぱ優しいなぁ。
でも店長も涼君とおんなじB型だって前に言ってたっけ…
こんな優しい店長でもキレたら涼君みたいになるのかな?
いや、涼君が特別なのかな?
変だな、私。
病み上がりなのに、まだ喉痛いし食欲もないのに幸せな気分だ。
っていうか、食欲がないのは風邪だけのせいじゃない。
元彼と付き合い出した頃と一緒だ。
仕事に身が入らずついニヤけちゃって
何度も何度も携帯を見ちゃう。
…私、これじゃまるで、完全に
嘘でしょ!
あんな最低な強姦魔をっ!?
しかも年下だし全然優しくないし
愛想もないし意地悪だし強引だし…
でも、その変わりに知ってる。
本当は優しいって。
今までの嫌なところ、全部チャラに出来ちゃうぐらい優しいって。