年下の悪魔
「っていうか、ゆいさんの元彼ってどんな人だったんスか?」


車を走らせ市内から出た時、涼君が聞いて来た。

ずいぶん遠くのラブホに行くんだなって思ってた矢先だった。


「どんなってなぁ。優しかった。年上で、でも童顔で、私と並んだら絶対私の方が年上に見られてた。向こうの方が4つも年上だったのに。頼りがいがあって、しっかり者で。本当に大好きだったよ…」


ヤバい、泣きそう。


「今でも好きですか?」


「うん…。まぁね…」


別れて何年、何十年経てば涙なんか滲まなかったのに。


そんなすぐに気持ちは消えてなんかくれない。
元彼も運転する時は眼鏡かけてたし。


これからしますって時に変な事聞くんだから。


「涼君の元カノはどんな人?」

「んー、忘れました。でもプライド高かったですよ。年上で子持ちだったし」

「子持ちっ!?年上?」


涼君の元カノは涼君の職場に来てる保険会社の人だったらしく、交際歴は1年と10ヶ月。

別れたのは去年。

涼君が子持ちと付き合ってたなんて意外だった。


「まぁ、でも親はさすがに心配してましたよ」

「そりゃ…ねぇ」

びっくりして言葉も出ないわ。

「じゃあ、元カノはシングルマザーだったの?」

「はい。ちなみにー…」





私は涼君といろんな話をした。

お互いの元彼、元カノの話。

どうやって付き合ったかの話。

お互いの恋愛観。

涼君はローンなしで車を買いたいらしく、だから焼肉屋さんでも働いてるって話。


「じゃぁ、これからずっと焼肉屋さん来るの?」

「人手不足の時だけですよ」



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