年下の悪魔
さっきからあたふたしてる私を見兼ねたんだろうなぁ。

これじゃどっちが患者でどっちがお見舞いかわかんないよ。

でも、最初はアキノリさんの事苦手だったけど

こんなにアキノリさんを心配してくれてる人がいて、幸せな人だなぁ。

でも、物事をズバズバ言うところは私も好きになっちゃったんだけどね。

「あの、今日月曜日ですけど、皆さんお仕事じゃないんですか?」

「俺ら美容師なの!全員同じ職場。だから今日はお休み」

なるほど。

そりゃイケメン揃いになるわけだ。

「アキが退院したら今度お店に来てよ。ゆいちゃんなら安くしとくよ」

「そうしなよ。ゆいちゃん、めちゃくちゃ髪の毛傷んでるし…」

大きなお世話です…

っていうか、さすが美容師、お見通しだね。


何か、久しぶりに心から笑えた気がした。

アキノリさんの退院は後1ヶ月後だ。







退院当日。


「もうちょっと入院してたらどうだ?」

「やだよ。夜とか本当に恐かったんだから」

お父さんとお母さんが迎えに来てくれた。

お母さんが病院のレジで入院費を払ってる間

「何で2~3日入院しただけなのにこんな荷物が増えてんの」ってお父さんに文句言われたけど。

一応女なんだもん、いろいろあるんです。


病院は嫌い。だけど

大事な事とか嬉しい事もいっぱいあった。

今回だけは

入院してよかったかも。

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