年下の悪魔
ま、いいや。

あんな酒乱共の相手なんかしてらんないもん。

しかも退院したてだからとか言って、私はお酒なしだったし。

その割にはちゃっかり仕事の予定入れられて。

私って騙され易いのかな?



お店を出てしばらく歩き空を眺めた。

星も月も見えない。

雲が出てる。

家に着くまで降らないでよー。

それでなくても今日は蒸し暑い。

家とお店までは歩いて10分、近い方だけどさすがに汗だく。

こんな真っ暗な夜道、女の子1人じゃ危な―――――




『~♪~♪♪♪~』


着信音を聞いた瞬間、私の手は鞄の中の携帯を探してる。

この着信音にだけは反応が早くなった。



財布や化粧ポーチが乱雑に入ってる鞄の中、私の手は何とか携帯を見つけ出せた。

早く取らないと切れちゃう。





ピッ


「もしもし!」

『よっ!退院おめでとう!』






あ…

どうしよう。

めちゃくちゃ嬉しい。

ずっと聞きたかった声。

それに何より


涼君の方から電話して来てくれるなんて初めて。


「あ、ありがとう…。涼君、何してたの?」

『飯食って風呂入って昼寝。お前からのメールすら気づかねぇぐらい爆睡してた』


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