年下の悪魔
進歩
何とか涼君も全身海水に慣れた。
泳げない私は浮輪で浮遊してた。
波に身を任せプカプカと漂ってるだけでも気持ちいい。
ストレス解消だ。
涼君は浮輪なしで泳ぎながら、近くの岩場を探索してる。
相変わらず子供みたいだ。
「ゆい、見てみろ!蟹がいるっ!すっげぇいっぱいっ」
浮輪で近くまで泳いで行ってみる。
人がいないから誰にもぶつからなくて楽だ。
高い岩場の上の方ではしゃぐ涼君は、どっからどう見ても子供みたいだ。
「蟹?晩御飯にしようよ。取って帰ろう!」
「ちっちぇ奴だから無理だよ。それにこれ食用じゃねーし、そもそも密漁になっちまうだろ?」
密漁とか食用とかよくわかんないな。
私達が住んでる地元には海がないから。
「昔はこの辺でタコも取れたんだぜ!」
「昔来た事あるの?」
「友達と1回。それに俺、昔この辺に住んでたから」
そう…なんだ。
じゃあ、涼君からしたらこの辺は地元なんだ。
「どのくらい住んでたの?」
「小学生に上がる前かな?ちっちぇ時だからあんまり覚えてない」