年下の悪魔
お会計を済ませ、私と涼君は部屋を後にした。

昨日から変な感覚が取れないでいる。

さっきまで2人っ切りだったこの部屋―空間との別れは、いつも少し淋しかった。

けど、愛してもない男とはこんな感じなのか

淋しくも、勿体なくもない。

昨日から事あるごとに元彼と比べてしまってる。

それで罪悪感すら感じてない自分に少し嫌気がさすけど

涼君だって割り切ってるんだから、嫌悪感はもってないはず。

持たれても困るけど…。


「忘れもの、ないですね?」

車に乗ったと同時に涼君が口を開いた。









あ…




『忘れもの、ないよな?』



また元彼とかぶった…。

いつになったら私の頭から出て行ってくれるの?




「大丈夫。財布も携帯もタバコもある」





元彼の時のように答えた。

懐かしいだけならいいのに、まだ悲しい。



帰り道、昨日の余韻が体に残ってるのか、少しの段差で車が揺れるたび、体が変に反応してる。

「んっ、ふ…」

「どうしたんですか?寒いですか?」

「い、や…何でもな…」

ビクビクと体が脈打つのを見て、気づかない訳なかった。

「マジですか~」

こんな時だけ笑うんだから…

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