年下の悪魔
いつもの自販機で合流し、ホテルに向かった。

お互い金欠だし、安い場末のラブホテルに行く事になった。

昔、本当にお金がない時に元彼と何度か行った事があったホテルだ。

その時は、ただ一緒にいたかったから、お風呂が狭いだとかベッドが固いだとかなんて気にしなかった。

今は、やる事なんて1つでしょ?っていう心持ち。

昔から私は真剣が図太いのだろう。

じゃなきゃ元彼といったホテルにセフレなんかと行ったりしない。





「へぇ、安いっていうからどんなホテルかと思ってたけど、結構広いんですね」

「うん。だからお気に入りだったんだ」

「でも、さっき入った時、チラッと脱衣所が見えたんですけどバスローブじゃなくて浴衣でしたよ(笑)」

「どうでもいいでしょうが(笑)」


部屋に着くなり涼君が机の上に何か、小さな箱を置いた。

何気なく目をやると、コンドームだった。

「あ、コンドーム買ったの?」

「前にゆいさんが『ラブホのゴムって信用出来ない』って言ってたから買っときました」

意外に優しい。


何か…セフレって、イメージしてたものと違うな。

あ、きっと涼君は車買いたいから、今子供出来ても困るから細心の注意をはらってるんだ。

それに一応、私彼女じゃないし。


いつもならすぐにでも始めるところだけど、何と言ってもさっきまで仕事してたんだから、さすがに疲れた。

ちょっとだけ…のつもりでベッドに横になった。

チラッと涼君を見ると、タバコを吸いながら、部屋に置いてあるデルヘル情報誌を読んでる。

「あれ?涼君、タバコ…」

「ゆいさんが隣で美味しそうに吸ってるんで吸いたくなったんです。どうしてくれるんですか…」


あー、俺って情けない。って書いてるような顔。

何か可愛いなぁ。
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