年下の悪魔
「んっ、んぅっ!ゲホッ、やだ!嫌っ!離して!」

何とか涼君の唇から逃げられた、けど下敷きになってロクに身動きが取れない今、出来る事といったら言葉で抵抗するぐらいしかない。

「どうして、こんな…あっ、あぁっ」

「体は正直じゃん。こんなに濡らして…」

うっすら目を開けると涼君の顔が微かに見えた。


冷たい目――――。


背筋が凍る。

こんなに冷たい目をした涼君は初めて見たからだ。

いつも口調は冷たいけど、一緒にいるうちに優しい表情や笑顔まで見せてくれただけに


怖い…けど、何故かショックだった。

「ど、して…?あっ!何で、こんな…やっ、やめてぇ…」

私の言葉に一切耳を貸さない。

精一杯の抵抗だったのに。

「や、やだ…やだぁぁ…ああぁっ…」


「相変わらず、簡単にイクんだな、お前は…」


いつの間にか涙が頬に伝ってた。

怖いから?
悔しいから?
ショックだったから?

もうわからない。
頭の中が真っ白だ。


「ほら、さっさと後部座席に移れ」

耳元で聞こえた声は、まるで悪魔そのものだ。

死刑宣告のような声…。

「やだ…行きたくな…」

「あぁっ!?殺されてーのかお前っ!」

怒鳴られた瞬間体が揺れた。

徐々に徐々に、私の中の恐怖が増殖する。




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