年下の悪魔
身体
それからまた一週間が過ぎた。

まだまだ店は忙しい。


けど、だんだんお客さんの入り具合も落ち着いて来た。

まぁ、平日っていうのもあるんだろうけど、もう出勤日っていう会社がほとんどだろうな。


1月半ばだし。


不況だし。


そういえば、今日は涼君いないんだ。

「店長、今日は涼君いないんですか?」

「涼君はもう仕事始まったみたいだから今日は来てないよ」



そうなんだ、よかった。

一週間前、つい淋しさからセフレ契約しちゃったけど、冷静になって考えたらやっぱ無理っぽい。

だって、好きでもない人となんて…。

それに、私、まだ元彼を待ってる。

絶対無理だとわかってる心のどこかで、まだ元彼を待ってる。


待っていたい。



「ゆいちゃん、今日はもう上がっていいよ」

「え?」



時計を見ると、まだ9時ぐらいで、ホールを見るとまだお客さんがちらほらいる。

この時期、こんな早い時間に上がるなんて滅多にないんじゃ…


「店長、でもお客さんがまだ…」

「明日から週末だし、忙しくなると思うから今日は早めに帰っていいよ。ここんとこゆいちゃん働き詰めでしょ?」


そー言えば、今日金曜日だ。

早いな。

働き詰めっていうか、働いてなきゃ思い出してしまうから。


私の勝手なわがままで傷つけてしまったあの人を。

「明日は涼君も来るよ~」

店長がニヤニヤしながら言って来た。

何か勘違いされてる…?



「店長~、私二週間前にフラれたところですよ(笑)」


「え?うちの店に何回か来てくれてた、大人しそうな人?」

「そうですよ(笑)もうボロボロにフラれちゃって、あはは~」


「じゃぁ、涼君なんていいんじゃない?」

「しばらく恋愛はしたくないですよ~」


…その前に、年下に興味なんてありません。


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