年下の悪魔
「ゆいさ~ん、車酔い大丈夫ですか?横になってたら余計に酔うんじゃないですか~?」

「うるさいっ!」


どうせ車酔いじゃないって知ってるわかってるくせに。

自慢じゃないが、私は滅多に、いや殆ど言っていいほど乗り物酔いなんてしない。

横になったら酔いやすいかなんか知る訳がない。

ただ、あのままあの夜景を涼君と見続けてたら


何か、変な事を口走りそうだったから。


恐怖じゃなく違う意味でドキドキして…


苦しさで心臓が壊れそうだったから。


それにどっちにしろ体力が限界だ。

体温が上昇してる。

ヤバい、絶対38度ぐらいある…。

風邪のせいだもん!

涼君なんかのせいじゃない。


寝転びながら窓を見上げ外の景色を見ようとしたが流れる景色は一緒。

木ばかりだ。

ま、このアングルからじゃ何も見えないか。

こんな事なら薬持ってくればよかったなぁ。

「ゆいさん?」

「ん?何?」

「いえ、呼んだだけです。また寝てるのかと…」


あ…、風邪が上がって来てるからか喋るのも億劫な状態。

それに車の振動って、何か気持ちいいんだもん。

それに車内に流れてる音楽聴いてたし。

んー、聴いたことない曲だなぁ。

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