大好きな君
「ありがとー」
仄はやり残していた算数の宿題を結城のノートから写していた。
…………
「終わったーっ!」
「時間やべぇ、走るぞ!」
「うん!!」
2人は学校までの道程を全力疾走した。
キーンコーンカーンコーン
「「あ゛ーー」」
朝のチャイムがなり終わる頃2人はまだ、学校に着いていなかった。
「仄!俺達、遅刻だ!」
「あーあ……やっちゃったねー……」
チャイムがなり終わるのを確認すると走る気力もなくなった。
「しょうがねぇな」
「いっその事ゆっくり行こっか」
仄と結城は揃って教室に入って行った。
「ヒューヒュー朝からラブラブだなー」
教室に入ると、クラス1のお調子者の蓮(レン)がニヤニヤしている。
「うっせーなぁ、ラブラブとか、んなわけないだろ」
結城が蓮に言う。
結城はその言葉の裏に様々な思いを抱えていたが、それを誰かに打ち明ける事はなかった。
現に仄はクラスに好きな人がいる。
結城の親友の冬麻(トウマ)だ。
小学4年生の頃から、仄はずっと冬麻に思いを寄せていたのだ。