火の雨が降った後

遠くの空が…黒い…。


自分の立つ空の上は青空が広がっているのに、横浜駅の方の空が真っ暗だった。


そんな異様な光景に、目を奪われて足が止まる。


耳に響く空襲警報のサイレン。


これは…どういうこと…?


夢なのか現実なのか呆然と立ちすくみながら、遠くの黒い空を見つめていると、青空が一筋広がっていく。


!?


すぐに青空は消えてしまったけれど、確かに見えた…。


大きな飛行機があの空の中を飛んでいた…。


何?何が起こってるの?


状況がいまいちつかめないのに、背筋が冷たくなるのを感じた。


手で腕をぎゅっとつかみながら、震える体と大きく跳ねる鼓動を抑えていた時、ザーッと夕立でも降ってきたかのような音が耳をかすめる。


黒い空から自分の立つ空の上に視線を移すと、飛行機の大群がいつの間にか青空を遮っていた。


慌てて防空壕へ逃げ込んだ直後、ザーザーと言う音の他に、ブスッブスッと言う何か地面につき刺さる音も聞こえてきた。


薄暗い防空壕の中、身を縮めて懸命に震えを抑える。


あの飛行機の数は何…?


荒くなる呼吸に、手をゆっくりと喉に当てた。


脈がドクンドクンとものすごい速さで動いている。


額からは汗が溢れ出してきていた。